ウォーキングアプリが多彩に増え、コロナ禍の健康法のひとつとしてウォーキングを日課にしている人も多いはず。しかし間違った歩きすぎがもたらす体への支障にも要注意だ。
「Pikmin Bloom(ピクミン ブルーム)」というスマホアプリの登場で、ウォーキング人口が増加中だという。これは「ポケモンGO」のNianticと任天堂が共同開発したモバイルゲーム。
歩くことで持っている苗を育て、成長した苗は「ピクミン」という生き物になり、そのピクミンのケアをし、一緒に歩いて地図上に花を植えていくという内容。「気づいたら1万6000歩も歩いていた」など、ハードウォーカーのコメントをSNSで散見する。
その一方で「歩きすぎて足裏が痛い」など歩きすぎを反省する声もある。このゲームをしていなくても、「コロナ禍の運動不足解消に」と意識的に歩いている人は多い。なかには「毎日1万歩」を目標にしている人もいるだろう。しかし、実はこれにはあまり根拠はないことが見えてきた。
ハーバード大学が『The Journal of theAmerican Medical Association』に発表したウォーキングの健康効果に関する論文によると、一日の総歩数が増えることで死亡率は低下するが、7500歩で下げ止まり平坦化したという。高齢者の場合はもっと少なく、4400歩で死亡率が低下することが判明。そう、健康維持という目的であれば1万歩も歩く必要はないのである。
でも多くの人は、歩けば歩くほど消費エネルギーが上がり痩せられることを期待する。しかしウォーキングは、痩せるのには消費エネルギーが低い。あくまでも循環器や足腰の健康を維持するためであり、無理をする必要はない。成人女性であれば6000歩~8000歩目安で十分なのである。また、日常的に歩き慣れていない今、歩数を少しずつ増やすことも大切。逆に無理をすれば足・ひざ・腰に負担がかかり、姿勢にも影響を及ぼす、とお茶の水整形外科の銅冶英雄医師は言う。
「急にたくさん歩くと足底筋やひざ、腰などを痛めることになります。また女性の場合、中敷きがフラットな靴で歩く人が多い。これだと足のアーチが支えられないので、外反母趾や足底筋膜炎などのトラブルが起こりやすくなります」
この時季に愛用する人が多いムートンブーツも、中敷きはフラット。長時間歩くときは足のアーチを支えられるスニーカーなどウォーキングに適したものを選んで。