100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方
世界に名だたる長寿国となったニッポン。それはじつに喜ばしいことだが、単に長生きをしただけでは意味がない。自分の足で歩いてこその健康長寿。その要となる「ひざ」について、今回は勉強しましょう。
大阪府吹田市にあるリウマチ科クリニックの院長を務める戸田佳孝医師は、「手術は極力しない」「無駄な医療はしない」の2大テーマを掲げ実践している。医療番組のコメンテーターとしても人気だ。
そんな戸田氏が著したのが『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス刊)。自身の信念に沿って、たとえ100歳まで生きたとしても、人生を終えるその日まで、自分で歩くための“健康なひざ”作りのメソッドを開陳している。
論旨は明快だ。端的に言えば、「運動と食事の努力でひざは守れる」という一点に集約される。
肥満傾向の人はまず減量し、ひざそのものと膝を支える各部の筋肉や関節を強化するトレーニングを行う。
そして、軟骨を支える骨を強化するビタミンKや、筋肉を作るカルノシンなどの栄養素の摂取だ。「栄養素」というとサプリメントを思い浮かべる人が多いが、著者はこう注意を呼び掛ける。
「軟骨の成分を口から入れても、消化されて栄養素に分解されてしまうので、ひざの軟骨が増えることはありません」
安易に高価な健康食品に手を出すよりも、運動指導や食事指導に積極的な整形外科医にかかるほうが、効果的なだけでなく経済的でもある、ということだ。
肝心の筋トレ法については多くのページを割いて解説している。強いひざをつくる上で、特に強化が必要な筋肉は4つある。大腿四頭筋、外転筋、内転筋、そしてハムストリング。中でも著者が推奨する大腿四頭筋のトレーニングは簡単だ。
イスに座って片足をひざを伸ばすようにして持ち上げて10秒間静止。ゆっくりおろして2秒経ったら同じように持ち上げて10秒間静止-。これを5回繰り返す。
片側のトレーニングが終わったら、反対側も同じ回数行うだけ。両足あわせても2分もあればできる筋トレだ。これを1日2セット実践するだけで、ひざに痛みがある人は痛みが引いていき、痛みがない人はひざの故障が起きにくくなるという。家庭でも会社でもできるので、ぜひ実践したい。
紹介されている筋トレや食事療法は、いずれも学術論文で紹介されたり、著者自身の研究によって成果が認められたものばかり。
「この本は私の研究の現在における集大成。実際に私の治療や指導を受けて、ひざのセルフケアを続けたことでひざの痛みが改善し、苦痛なく歩けるようになった患者さんはたくさんいます」と自信を見せる。
多くのイラストと平易な文章で、苦労せずに理解が深まる。(竹中秀二)
■“健康なひざ”づくりのためのオススメ健康法
□肥満のままでひざの健康はあり得ない
□半月板手術は意味がない
□自宅でできる筋トレやストレッチを指導してくれる整形外科を選べ
□O脚の人は、100円ショップの「測定版」で矯正すべし
□納豆、鶏むね肉、ブロッコリー、ホウレンソウを積極的に食べる
□サプリに頼るくらいなら整形外科を受診すべし
参考にしてみてください。セラピストGoGo