セラピストGoGo

Washizu Go(わしず ごう)1990年静岡生まれ。平成25年理学療法士免許取得。ヨガインストラクター。パワーリハビリテーション研究会研修終了。大学との連携で運動プログラムの提供、「運動」と「笑い」で健康寿命を延ばす施設。AOIデイサービスの施設長として勤務。

【手術後も続く痛み】腰椎術後に問題あり!?


 「腰の手術を受けたのですが、腰の痛みや脚のしびれがいっこうによくならなくて……」として、ペインクリニックを受診される患者さんがおられる。

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こうした方のように、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管 狭窄(きょうさく) 症」「腰椎すべり症」などに対する手術後に痛みが続いている、ないしは、新たな痛みが発生した場合には、「腰椎術後症候群」(フェイルドバックサージャリー症候群)と考えられる。

 

難治性の腰・下肢痛の一つであり、再手術、再々手術を余儀なくされ、多数回腰部手術(“マルティプリーオペレーテッドバック”)となる。私は、「過去に計8回の手術を受けた!」という患者さんの治療を担当したことがある。

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発生率は20~50%
  「手術の失敗」を意味するフェイルドバックサージャリ―症候群という整形外科医にとってありがたくない用語が医学論文で取り上げられるようになったのは、1970年代後半から(もちろんそれ以前にも存在したが)である。

 

当初、その発生率は10%程度と考えられていた。しかし、現在では、術式によって異なるものの20~50%と推定されており、むしろ増加傾向にあるのだ。その原因の一つとして、加齢による腰椎の変形に対する固定手術件数の増加が挙げられている。
 
 症状の発生原因は多岐に及ぶ。

(1)手術直後から症状に変化がない、あるいは悪化した場合は、手術前から存在した神経障害の回復遅れ、手術中の神経損傷、担当した医師の不十分な手術手技などがその原因と考えられる。

 

(2)手術後に一時的によくなったものの、何らかの症状が出た場合は、手術後2年以内であれば、もとの症状の再発や不安定化、または、神経根(脊髄へ入る末梢神経の根元)周囲の癒着や炎症(癒着性くも膜炎)の発生が疑われる。

 

一方、2年以上たってからの場合は、手術前とは異なった新たな問題(たとえば、他の部位での椎間板ヘルニアなど)が発生している可能性が高い。さらには、心因性の要素も加わり、ますます複雑になるのだ。

 

 診断では、まず「手術前と同様の症状」が存在するかどうかを吟味することが重要である。加えて、心因性の要素が関与しているか否かを確認することもポイントとなる。なお、上記の(1)ならびに(2)のうちで、神経根周囲の問題が疑われる場合は、さらなる手術は避けた方がよいだろう。

 

「脊髄刺激療法」に期待
 ガドリニウムという造影剤を用いたMRIなどにより、再手術の適応がないと判断されたら、ペインクリニックの出番である。

 

まず、神経根ブロックや硬膜外ブロックを中心とした治療を行う。しかし、癒着が強い場合、薬液が十分に広がらず、満足のいく効果を得られないこともある。こうした患者さんでは、「脊髄刺激療法」「硬膜外癒着 剥離(はくり) 術」(ともに保険適用)といった治療法が脚光を浴びているのだ。


 脊髄刺激療法とは、硬膜 外腔(がいくう) (脊髄の背側に存在する空間)に専用の電極を挿入し、 臀部(でんぶ) などに植え込んだ刺激器を用いて低周波通電を行うものである。

 

私は、現在までに腰椎術後症候群の患者さん約150人にこの治療法を行ってきたが、結果、90%の方が、その効果に満足された。発症原因のいかんにかかわらず、治療効果が期待できるものと考えている。

 

手術を受けるときは慎重に
  一方、硬膜外癒着剥離術とは、先端に金属コイルがついた金属製のカテ-テル(スプリングガイドカテ-テル)を用いて、硬膜外腔内の癒着部位を物理的に剥離し、薬液(高濃度の食塩液、局所麻酔薬、副腎皮質ステロイド薬など)を注入する方法である。

 

これにより、主として神経根周囲の癒着を剥離して、炎症物質を洗い流す。しかし、強固な癒着に対しては限界があり、再癒着を起こす可能性も否定できない。

 

 腰椎術後症候群において最も重要なことは、その前の「予防」である。腰痛や脚のしびれを訴える患者さんのなかでも、脊髄腫瘍や巨大な椎間板ヘルニアを除けば、手術の絶対適応となるものは、実は思いのほか少ない。

 

しかし、かなりの数の手術が実施されているのが現実だ。したがって、手術を受けるときは、セカンドオピニオンを求めることも必要であろう。

 

 なお、レーザーを用いた椎間板ヘルニア手術(保険適用外である)が、いまだに数多く行われている。しかし、これを実施した後、さらに手術が必要となった例が年々増加していることを、最後に付け加えておきたい。

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