基本的には、酸素とブドウ糖があれば脳は働く。
それは脳が働くためのエネルギー源として、ということ。余分に摂り過ぎれば、当然カロリーオーバーとなり、肥満の元になる。
しかし、市販されているお菓子の中には、脳のエネルギー源とはまた違う、脳ストレスを軽減する機能を持つタイプもあるという。
そこで、筆者が大学医学部 精神神経科学教室の教授に伺った、お菓子の効果データを公開していこう。
今さらながらGABAって何?
教授が、脳のストレス軽減としての効果が高いと推す菓子は、GABA配合のチョコレートだ。
教授「GABA(ギャバ)の正式名称は、『γ(ガンマ)‐アミノ酪酸(らくさん)』といい、セロトニンやドーパミンなどと同じ神経伝達物質(※)のひとつです。
主な働きとして、神経細胞の興奮を抑制したり、不安を緩和するなどして、精神を安定させる作用があります」
※神経伝達物質:神経細胞(ニューロン)の軸索末端から放出される化学物質。神経細胞と情報(=信号)のやりとりをするときに、神経細胞を興奮させたり、抑制したりしながら、学習・記憶・睡眠・運動など、脳が働くときに大きな役割を果たしている。
GABAチョコの学習効率UPは本当だった!
教授「そのような作用を踏まえて行った“GABAによるストレス軽減効果の実験結果”があるので紹介しましょう。
この実験では、唾液中のストレスマーカー『クロモグラニンA』を指標として、その数値変化で結果を測定しました。クロモグラニンAとは、副腎から出るホルモンで、ストレス度が高いほど分泌されます。
この実験に協力していただいたのは、中学受験を控えた東京都内の私立小学校6年の61人。
彼らを2つのグループに分け、実験の前、各々がGABA100mg入りチョコレート(GABAチョコグループ)と、普通のチョコレート(チョコグループ)を食べ、暗算問題を解いてもらいました。そして、終了後に再度、唾液を採取。
その結果、GABAチョコグループが、解答数および正解数ともに、チョコグループよりも多いという結果が出ました。
ストレス度を測定するストレスマーカーでは、GABAチョコグループは確実にクロモグラニンAが低下したのに対し、チョコグループはほとんど変化がありませんでした。
この結果から考えられることは、GABAによって『試験を嫌だと思った』『あがってしまい、ボーッとなった』というストレスが抑えられ、本来の力が出せたのではないか、ということ。
したがって、GABAには『学習時のストレスを軽減する効果』や『学習の効率をよくする可能性』があるといえるでしょう」
同じガムでもミントじゃなければストレスは軽減しにくい!?
教授「私が携わった“香り”の研究から、『ミントガム』について調べたものも紹介しましょう。
この試験調査にご協力いただいたのは、健康な男性会社員16名と女性会社員16名です。平均年齢は25歳。週5日以上、電車通勤しており、試験調査当日も普段と同じように出勤していただきました。
“電車の中でミントガムを噛んでいると、気分がリフレッシュされ、満員電車のイライラも落ち着く”というユーザーの声があることを、某ガムメーカーの方からお聞きし、この試験調査を試みることにしたのです。
検査は『満員電車によるストレスに対して、ミントガムを噛むと効果はあるのか?』というテーマに、唾液中のストレスマーカーであるクロモグラニンAの値を測定しました。
3つのグループに分け、A群はミントガムを5分噛み、B群はミントなしのガムを5分噛み、C群は何も噛まない、という具合に。
その結果、何も噛まないC群より、ガムを噛んでいたA群とB群のほうが、ストレス度が下がっていました。中でも、ミントガムを噛んだA群のストレス度が最も減少していたのです。
この結果からいえることは、『噛むという行為がストレス対処に効果がある』、『ミントにはストレス緩和作用がある』という、ふたつのことです。
ミントガムを噛むことで、手軽にストレス対処できるという結果は、とても有意義なことだと思います。
というのは、身近で簡単に利用できるものでなければ、ストレス予防法は長続きしないからです」