オフィスでの長時間におよぶデスクワークや打ち合わせの後は、疲労感から、つい甘い物に手を出しがち。しかし、この行動はかえってカラダを疲れさせてしまう場合もあるという。
健康情報サイトのウェルラボに整形外科医で、Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長・中村 格子先生が監修したリポートが掲載されているので概要を紹介したい。
なぜ疲れたときに甘いものが欲しくなる?
身体の疲れを感じると、脳は空腹のシグナルを出し、食事によってエネルギー不足を補おうとする。とくに甘いもの(糖分)が欲しくなるが、その理由は、糖分は体内で素早くエネルギーに変わるため、一時的に疲れがとれやすくなるため。
しかし甘いものは依存性があるので、「疲れには甘いもの」と思い込んで食べ過ぎると、余計に疲れやすくなり、さらに甘いものを食べたくなるという負のスパイラルに陥ってしまう。
では、なぜ甘いものを食べると疲れやすくなるのか。
空腹時に糖分をとりすぎると血糖値が急上昇する。すると、ホルモンの一種であるインスリンが分泌され、今度は血糖値を下げようと働く。その際、血糖値が下がりすぎると、逆に疲れを感じたり眠くなったりすることがあるのだ。
まとめると、身体の疲れる→糖分をとる→血糖値上昇→インスリン分泌→血糖値が低下しすぎる→身体が疲れる、という流れだ。
食事はカロリーだけでなく血糖値も意識する
そこで食事をとるときは、総カロリーだけでなく、血糖値を緩やかに上げることを意識したい。血糖値を緩やかに上げるためには、GI値の低い食品を選んで食べることが大切。GI値とは、食品の血糖値の上がりやすさの指標のこと。
また食事のときは、このGI値の低い食べ物から高い食べ物の順に食べることが大切。疲労時はチーズやナッツ類、果物、ドライフルーツなど、タンパク質や脂質、果糖といった低GI値で栄養価の高い食品がおすすめだ。ただし、GI値の低いものばかりを食べていると栄養が偏ってしまうので、極端な節制は避けること。
ちなみにGI値とはグリセミックインデックス(Glycemic Index)の略称。食品に含まれる炭水化物が消化され、糖に変わるまでのスピードを表した数値になる。
食後の血糖値の急上昇は、大量の血糖が血管を傷つけ、動脈硬化の原因となるほか、脂肪分解を抑制するインスリンが大量に分泌され、身体に脂肪がたまりやすくなるというリスクが生じる。